30 思ったことは実現する 3
江戸時代の人で、水野南北という人がいる。初めて名前を聞く方も多いであろう。簡単に紹介しよう。幕末、天保年間の人である。当時、日本一の観相家と呼ばれた。小さい頃は悪行を極めた無頼の人であった。牢獄へ入る事、数知れず。ある、大阪で有名な観相家に見てもらったところ、剣難の相があり、あと1年の命とのこと。仏門に入ろうとしたが断られる。その時の僧侶に、向こう1年間、麦と豆のみの食事をすれば入門を許す、といわれそれを信じ、1年間、麦と豆だけの生活をした。仏門に入ろうと思い、先程の観相家に見てもらったところ、剣難の相がすべて消えていた。きっと粗食が陰徳の行となって凶相が消えたのだろうと言われた南北は、出家をやめ、観相家としての修行を始めた。そしてついに外れることのない観相家となったという。それからは、幸運の相に入る。50歳の頃、伊勢神宮で断食修行の時、豊受大神から「人の運は食にあり」との掲示を受け、以降、これを主義として人々の指導にあたった。これを称して「節食開運法」という。一言で言うと、人は一生の間にいただける食の量というのは決まっているのだから、日々、腹八分目の節食に徹すれば、必ず幸運を招くことができるというのである。いかがであろうか?皆さんもやってみられてはいかがであろう。現代はグルメの時代である。テレビでもインターネットでも、あそこのそばが美味しい、ここのステーキは A 5ランクで絶品だ、などという宣伝で溢れている。うまいものを探し歩いては、腹いっぱい食べるという風潮であり、水野南北の言っていることとは全く反対の事情となっている。そういう風潮に逆らって、粗食を腹八分目に、という勇気のある方は、もしかしたら開運できるのかもしれない。
筆者はかなり天邪鬼的なところがあるから、なぜ節食開運というようなことが成り立つのだろうかと考えてしまう。日本ではあまり実感できないが、世界を見渡してみると飢餓で苦しんでいる人たちは7億人はいると言われており、その人たちは。かわいそうではあるが、望むと望まないとにかかわらず、節食どころか、絶食を強いられている。こういう方たちは本当なら開運の先峰にいるはずなのだが、どうもそうはなっていないような気がする。では水野南北のは間違っているのか、あるいは日本人にしか成り立たないものなのか?
筆者の勝手な推測では、節食して開運したというよりは、麦と大豆で1年間過ごすと必ず開運する、という極めて強い意志が働き、実際にそう行動したために、開運が実現したのではないかと思っている。ナポレオン ヒルの言う、何が何でも成し遂げてやるという強い意志が動かしたとも考えられるし、無能唱元の言う阿頼耶識にその強い念が入り、1年間の熟成のち、それが実現したと考えても良い。たまたまその時、節食という事実があったのであって、強い思いもなく節食してもうまく開運には結びつかなかったのではないかと思う。事実、江戸時代であっても食うや食わずの人は数多くいたのであり、これは世界の飢餓の人と変わることはないと考えられるからである。
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