33 減塩、高血圧、コレステロール、糖尿2
まず減塩についてであるが、なぜ減塩かと言うと、脳卒中の原因となっているから、とい言われている。事実、減塩政策をとったところ、脳卒中の発生頻度は確かに減ったということであるから、確かに減塩の効果はきちんとあるのである。ただ、いろいろと調べてみるとわかるのだが、この事実に関しては中国のデータはあるのだが、日本、世界で何回も追試したというデータはほとんどないということである。いずれの文献も、減塩によって脳卒中は減ると断定的に定性的に書いてあるのが多い。
さて、現在日本には血圧140以上の人が 4300万人いるといわれている。減塩→血圧の低下→脳卒中の頻度現象と考えると、因果の連鎖が美しく、科学的にも真実であると見える。一つ一つの段階を見てみよう。その前にいくつか矛盾点があるのでそれだけは押さえておきたい。日本では、脳卒中の発生割合は世界各国に比べて高いのであるが、寿命の長さという点では日本は最高レベルとなっている。これが第一の矛盾。だから脳卒中を減らせばもっと長寿になるといういうかというとそう甘くはない。他の疾患で死亡が増えるだけである。
減塩によって血圧の低下が起こるということは本当のことである。これはDASH-ナトリウム試験という、かなり信頼の置ける方法で調査されたものだから間違いないであろう。
ブログを見ると、日本人は減塩をしても血圧が下がらないとか、あるいは塩分抵抗性のある人には減塩は効かないと書いてあるものも多いが、やはり血圧は下がるのである。確かに食塩の代謝というとわからないことが多くあるので、塩分をたくさん取らないと命を維持できないという人は確かにいると思うし、そういう方たちは体内の塩分のストックが多いはずだから、多少減塩したところで何の影響もないように見えるかもしれない。では血圧を下げるために人類全体が減塩をした方が良いのかというと、それは少し違うと思われる。上に述べたように食塩を多く必要とする体質の人たちは確かにいるのであり、統計的には脳出血の頻度は減ったとしてもしても、そういう人たちには減塩による弊害の方が大きいかもしれない。ではどうやってそういう人を見分けるのか?現在のところその方法はない。
また食塩をいくら取ったとしても、高血圧にも脳卒中にもならない人というのが数多くいるというのが事実であるから、話は込み入ってくる。あくまでも減塩したら統計的には平均血圧は低くなる。ただそれだけのことである。科学は統計であるから。ただ減塩すると確かに血圧が下がるのだが、体がすんなりそれを受け入れてくれるかというと、そうとは限らないようである。例えば血中のナトリウムが減ると腎臓から血圧を上げるホルモンが出る。これは標準生理学(医学習院)に書いてある。人間の見えないところでいろいろな体の調節が行われているのだから、事は単純なものではない。
では次の段階。血圧を低く保てば、脳卒中は減るのか?これにはインターネットを見てもかなり噛みつく人が多い。ある人のデータによれば、ある地域では血圧と脳卒中の発生頻度に相関関係はなかったと著してあるものもあるようだし、また逆に血圧を下げることによって脳梗塞の頻度が増えたとするブログもあるようである。確かに血圧をおしなべて全員下げた方が良いのかというと、これには筆者にもいくつか経験があるのでお話ししたい。
天の味噌汁にも書いているのだが、筆者は、若い頃、無医村に赴任したことがあった。そこで、93歳の高血圧(180~200)のおばあさんに降圧剤を投与した。血圧が 140位に下がったのは良かったのだが、元気がなくなり、寝たきりになってしまった。降圧剤を切ったところ、血圧がまた 180から 200ぐらいに復活し、同時に元気になり野良仕事までするようになったという話である。筆者には、血圧と活動力には因果関係があるとしか思えなかった。その時、血圧はただ下げるだけが能ではないと思ったのである。血圧を下げてはいけない人が確かにいるということを悟ったわけである。
筆者が日常経験することであるが、血圧が180が 200だといっても 90過ぎまで矍鑠としている人も多いし、消化器の問題から降圧剤を切ることになった人が、かえって血圧が上がったためか元気になったということも数多く経験している。確かに血圧が多少高めの方が人生を生きる元気という点では有利なようではある。繰り返すが、血圧を下げれば脳卒中減るのか?先ほど述べたように確実視されているというまでのデータが不足しているようなのではっきりとは言えないのだが、確かに減ることは減っているのである。だから、心配の方は降圧剤を飲んだ方が良い。精神的にもずっと楽になる。
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